千春さんの口からご両親に話すつもりがないのであれば、俺から話さないといけないのだけど。


クリスマスや年末が近づいているのもあって、パン屋もなんだかんだと忙しくなっていた。


そんななか、師匠や奥さんに声をかけるタイミングはなかなか見つからず。


気がつけば千春さんの大学は冬休みとなり、千春さんは友達と海外旅行へと旅立ってしまった。


年末年始は暖かいリゾート地で過ごすのだとか。


俺に会いたくないからなのか、それとも傷心旅行なのか…。


まぁ、どちらとも言えるだろうが。


千春さんが留守なのに、別れたとご両親に告げるのはどうかと思うけど。


でも、せめて年内には話さなければと思う。


おそらくその頃に、すずが退院するだろうから。


年内に全てを解決して、新年はすずと新しい気持ちで迎えたい。


俺はそう思っていた。