「あとはさ、千春ちゃんのご両親にどう話すかだよ」


右京君の言葉に、心臓がドクンと音を立てた。


「もしかしたら今夜あたり、千春ちゃんがご両親に話すかもしんねーけど…」


確かにそれは有り得るよね。


そうなると隆治は、どうなってしまうんだろう。


「隆治。

お前、職を失う覚悟は出来てるんだろう?」


右京君の問いに、隆治は静かに頷いた。


「なんて言われようが、仕事をクビになろうが。

俺が好きなのは、すずだから…。

大丈夫。

俺はすずさえいてくれたら、どんな仕事だって、また一からやれると思う」


隆治の言葉からは、底知れぬ覚悟が感じられた。


「そうか。それ聞いて安心した」


右京君が腕を組んで、にっこりと微笑む。


「もう二度と、すずちゃんのこと手放すんじゃないよ?」


サエちゃんの鋭い目が光り、ちょっと背中がゾクッとした。


右京君といい、サエちゃんといい。


隆治の友達は、なんて頼もしいのだろうか。