千春ちゃんがいなくなった病室は、なんだかやけに静かで。


隆治はあたしの寝ているベッドの上に座り、右京君とサエちゃんは椅子に腰掛けていた。


「それにしても、まさか千春ちゃんがここに来るとは思わなかったな…」


「確かにそうね。私もだけど、隆治も教えてなかったんでしょう?

すずちゃんがここに入院してること」


「うん…。

考えられるとしたらさ。

俺、このところずっと様子がおかしかっただろうから、それで千春さん、俺のあとを付けて来たんじゃないかと思う…」


千春ちゃんを思うと、胸がズキズキと痛む。


恋人が自分の友達とキスしているところを目撃したりして。


どれだけショックだっただろう。


「でも、まぁ結果的に良かったんじゃねーの?

これでやっと、千春ちゃんにお前らの気持ちが伝えられたんだし」


右京君の言葉を聞いて、隆治があたしにスッと視線を移した。


隆治がホッとしたような顔で、あたしを真っ直ぐに見ている。


その顔がやけに優しいから、一気に頬が熱くなってしまった。