「長谷川君…。

そんなに好きな人がいるのに。

それなのに私の告白に応じるなんて、間違ってるよ?

本当は思われていないのに、そばにいてもらったって。

そんなの、ちっとも嬉しくないよ…」


もちろん、それを一生隠し通すつもりだったんだろうけど。


「ごめんなさい…」


長谷川君は、申し訳なさそうに頭を下げた。


私は首を横に振った。


「これからは、すずちゃんを大切にしてあげて…。

すずちゃんが全然遊ばずに勉強ばっかりして、恋人すらいなかったのって。

ずっと、長谷川君を思っていたからなんだよね…?」


「千春さん…」


「もう…二人とも我慢しなくていいよ。

私に遠慮することなんてないよ。

確かにショックだったけど、でも…。

二人にこんなつらい思いをさせてまで、長谷川君と一緒になろうなんて思わないから…」


私がそう言うと、長谷川君は目に涙を浮かべていた。


「千春さん…、ありがとう…」


長谷川君がそう言ってくれるから、なんだか心が救われた気がした。