「ほんっとバカだよね。隆治は…」


右京君の後ろにいるサエちゃんが、そう言って苦笑いをした。


「前に千春ちゃんがさ、私と話す時の隆治がやけに楽しそうだって言ってたけど。

あれってさ、私がすずちゃんに似てるから。

私にすずちゃんを重ねてただけだったんだよね」


サエちゃんの言葉に、思わず鼻からフッと息を吐いた。


「長谷川君…」


私は後ろを振り返り、長谷川君の顔を見上げた。


「すずちゃんが、好き…?」


そう問いかけると、長谷川君は私の顔をじっと見つめた。


その瞳が綺麗過ぎて、さらに泣きそうになった。


長谷川君はきゅっと目を細めると、ゆっくり頷いた。


「俺。

俺は…。

すずが、好きです…。

あのまま一生会えてなかったとしても…、それでも。

それでも、俺はずっと…。

すずを好きだったと思います…」


せつなそうに言葉を紡ぐ長谷川君。


思わずぎゅっと目を閉じた。


そんなに…。


そこまですずちゃんが好きだったなんて。


それなのに私のために、すずちゃんを諦めていたなんて…。