「本当に平気だったのか?

怖くなかったのか?

病院に運ばれて、手術して…。

痛みと闘って、孤独な夜を過ごして」


「隆治…」


「本当に何とも思わなかった?

俺に会いたいとか、思わなかった…?」


隆治に言われて、あたしは少し身体を離した。


そんなふうに言われたら、どうしていいかわからなくなる。


だって…。


だって本当は…。


至近距離で隆治の綺麗な瞳を見つめる。


あまりに綺麗で、目に涙が滲んで来る…。


「そんなの…。

怖かったに決まってるよ。

手術室に運ばれた時も、手術をする前も、した後も。

目が覚めたら身体に沢山管が刺さってて、怖くて怖くてたまらなかった。

不安でどうしようもなくて…。

隆治に会いたかったよ。

ずっと、こうして抱きしめて欲しかったよ…っ」


震える声でそう告げると。


隆治は突然あたしの頬を両手で包み込んで。


あたしの唇を、その熱い唇で塞いだ。