「あ゙ぁ~?何だってぇ~?」
12月の第二週の火曜日。
俺と右京は仕事が終わってから、俺のアパート近くの小さな居酒屋に来ていた。
俺の向かいに座り、思いっきり顔をしかめ、鋭い眼光で俺を睨みつける右京。
元ヤンキーなだけあって、ものすごい迫力だ。
「まだ千春ちゃんに話してないって、お前一体何やってんだよっ!」
右京が怒るのは、無理もない。
すずと俺に気持ちを伝え合う機会を与えてくれたのに、あれからもう随分時間が経っていたからだ。
「お前ってさ、結構毒舌なわりに心優しいっつーか、なんつーか。
俺にまで変な気ィ遣いやがって!」
右京の声があまりにデカイので、周りの視線がちょっと痛い…。
「俺の事をそこまで考えてくれてたのは嬉しいけどさ。
友達としては寂しいもんだよ。
隠し事されてたみたいで…」
そう言って右京は、ジョッキを口にした。
ビールの泡がワイルドに伸びたヒゲに付いて、なんだかサンタクロースみたいだった。