長谷川君の顔を、最初はまともに見れなかった。


すごく憎らしかった。


私の足を奪った張本人だったから。


でも長谷川君は、私がどんなに冷たい態度をとっても。


毎日、毎日病院に来てくれた。


そして、色んな話をしてくれた。


身の回りの世話も、必死でしてくれたよね。


気がつけば私は、長谷川君に会うのが楽しみになっていて。


次第に心を開いていた。


でも、少し気になることもあった。


私と同じ高校三年生なのに、進路はどうなっているんだろうって。


家の人は、何も言わないのかなって。


夜、両親が病院に来ていた時、よくその話が出ていた。


父も私も、そんな長谷川君が心配で。


だから、声をかけさせてもらったの。


長谷川君が、うちの店で働くことが決まって。


しかも、住み込みだって聞いて。


私、すごく嬉しかった。