救急車で運ばれ、すぐに緊急オペに入った。


生まれて初めての救急車。


初めて入る手術室。


すごく、すごく怖かった。


激しい痛みとひたすら戦って、一夜明けて医師に言われた言葉に、急に世界が真っ暗になった。


もうハードルが跳べない…。


すごくショックだった。


確かにこの頃、練習に嫌気が差していた。


私だって遊びたい。


思いっきり恋愛を楽しんだりしてみたい。


そんな思いがあったのに、いざ走る足を失ったら…。


悲しくて悲しくて仕方なかった。


苦しい練習を、もうしなくていいのに。


それなのに私は、こんなにもつらくて…。


その時、初めて知ったの。


失って初めてわかることってあるんだね。




私は、陸上が好きだったんだって…。