それからは、心にぽっかり穴が開いたみたいになった。


すずに再会したことで、俺のすずへの思いは完全に蘇っていて。


かえって前よりも大きくなっていた。


事故を起こして以来、自分の気持ちは固めたつもりだった。


どんなにすずが好きでも、心の中に閉まっておこう。


絶対揺れたりなんかしないって。


そう思っていたのに。


以前から何度も見ていたすずの夢を、この頃は毎日見るようになって。


携帯のすずの写真を見ては、はぁとため息をつくばかりで。


こんな状態の中、千春さんと毎日顔を合わせているのが、正直つらくなっていた。


真っ直ぐ顔を見られなくて、話しかけられても答えるのがしんどかった。


頭を冷やさなきゃ。


冷静にならなきゃ。


そう思って、今回の引越しを決意したんだ。


こんなことで、何がどう変わるんだと自分でも呆れるけど。


でも、もうどうしようもなく苦しくて。


逃げ場が欲しくて。


それで、こんなアパートに引っ越したんだ…。