『右京君…』


「ん?」


『あたしね。

隆治に振られた時に、さんざん傷ついたし、いっぱい泣いたの。

再会してからも、ずっと苦しかった。

だから、もうこれ以上傷つくことなんか何もないの。

大丈夫。

あたし、受け止める覚悟はあると思う…』


思わず、ハッと大きく息を吐いた。


すずのこういう強さに感心する。


やっぱり俺と隆治は、女の好みが似ているのかもしれないな。


「もう22時過ぎてるけど、お前駅前まで出て来れるか?

前に待ち合わせしたロータリーがあるだろう?

あそこまで車で行くから。

直接話したい」


『いいよ。行けるよ』


「じゃあ、そこで待ち合わせしよう。

近くまで行ったら、電話するから。

電話切ってから家を出ろよ。

先に行って待ってんじゃねーぞ」


『ん。わかった』


「じゃあ、あとでな」


スマホを切ると、俺はエンジンをかけ、車を発進させた。