俺の心臓の鼓動は、ずっとドクドクと鳴りっぱなしで。


既にエンジンを切っている車内に、その音がこだましているかのようだった。


『ね、ねぇ、右京君。

仮に右京君が今言ったことが本当だとして。

どうして隆治は、あの時あたしに会ってくれなかったの?

どうして、さよならって言ったの?

好きなら…、どうして?』


「すず…」


『あたし、あの時隆治にすごく会いたかったの。

隆治が転校してからずっと会えてなくて。

会える日を楽しみにしてたの。

隆治だって早く会いたいってずっと言ってたのに。

それなのに、どうして…?』


すずの悲痛な叫びに、勝手に涙が流れていた。


それを手の甲で拭うと、俺は一度深呼吸をした。


「理由が知りたいか?」


『え?』


「どんな事実でも、受け止める覚悟がお前にあるか…?」


それを聞いたらお前は、俺を許さないかもしれない。


でも、すずには絶対に伝えなきゃいけないことだ。