「お前、隆治と会えなかったんだろう?」


『うん。そうだよ…』


「アイツ、その場所に来なかったんだろう?」


『うん…』


「すず。

本当はさ、違うんだ…」


『違うって、何が…?』


「本当はアイツ、お前に会いに行ってる。

いや、正確にはお前を見に行ってる」


『な、何それ。

どういうこと…?』


俺は右手に握りしめていた隆治の携帯のボタンを押した。


消えていた待ち受け画面が、再び浮かび上がる。


「ここに、写真があるんだ…」


『写真…?

写真って何…?』


「あの日、隆治は駅に来ていたお前を携帯で撮ってたんだ。

お前には見えない場所から」


『え…?』


「お前、噴水の前に座ってたんだろう?

その画像がここにあるんだよ。

隆治の携帯の待ち受けに!」