「もしもし、俺」


『右京君?久しぶり。珍しいね』


「お前、今から俺が聞く質問に正直に答えろ」


『えっ、何?どうしたの?急に』


「いいから!
嘘偽りなく、正直に答えろ。

いいな?」


『わ、わかったよ。答えるよ。

何なのー?もうっ』


俺は大きく息を吸って、ゆっくり吐き出した。


「お前、隆治と別れたのはいつなんだ?」


『え…?』


「正確な時期を教えろ」


俺の唐突な問いに、少し間が空いてしまう。


戸惑うのはわかるが、答えてもらわないと困るんだ。


『あの、えと。

確か、高3の2月だったよ?』


2月?


あのヤロー、何が引っ越す前に別れただよ!


嘘ばっかりつきやがって!


「別れた理由は?」


『理由?』


「お前、言ってたよな。

隆治は寂しがり屋だから、遠距離なんて無理だったって。

それが本当の理由?」


『それは…』


俺はゴクリ、息を飲んだ。


その音が、車内に不気味に響き渡った。