暗闇の中、その物体を手に取った。


「あ、これ…」


ポケットから落ちてしまったのだろうか。


隆治は携帯を忘れて行ってしまったようだ。


ふと、アイツが話していた言葉を思い出す。


この携帯には、大事なデータが入っている。


確かアイツはそう言っていた。


それって一体何なんだろう。


友達のアドレスなんかはスマホに入っているはずだし。


なぜこんな古い携帯を、いつまでも充電して持ち歩く必要が…?


「うーん…」


どうしても気になる。


見たい…。


見てみたい…。


悪いとは思いつつ、俺は自分の好奇心の方が勝ってしまい。


恐る恐る携帯を開いた。


暗闇の中、ボワッと画面が明るく浮かびあがる。


その待ち受け画面に、俺の背筋が凍りついた。


「こ、これって…」