『何だよ、それ』


隆治の声が、急に低くなる。


その声に少しドキッとしたけれど、あたしは続けた。


「こんな関係続けて、一体何になるの…?

あたし達、一度は恋人になった仲なんだよ。

今さら友達になんて、戻れるわけないじゃん」


『すず?』


「大体ね。

友達だった頃だって、あたしはずっと隆治が好きだったの。

初めて出会った時から、ずっと気になってたし。

何の感情もなしに、友達でいた期間なんて全くないのよ?

それを友達に戻るだなんて。

隆治を好きだった頃に戻れとでも言うの?」


『ちょっ、ちょっと待てよ。

どうしたんだよ、急に』


隆治が動揺している。


でも。


ちゃんと言わなくちゃ。


「隆治には千春ちゃんがいるから平気かもしれないけど。

あたしは、まだ未練があるんだよ?

片岡君と付き合えって言うけど。

隆治と関わってる限り、あたしが片岡君を好きになることはないよ」


だって、そうじゃない。


隆治を忘れられないのに。


どうやって他の人を好きになれって言うの?