その日の夜。


あたしのスマホに隆治から着信があった。


「はい」


『すず?俺』


「うん…」


『今日のパン、うまかった?』


やけに弾んだ声の隆治。


やっぱりイタズラしたんだな…。


「おいしいわけないじゃん!

あたし、辛いの苦手なんだからー!」


電話の向こうで隆治の笑い声が聞こえる。


何がそんなに面白いんだか!


『その代わり、他のパンは甘かったろ?』


「あー、まぁね…」


そう。


確かに他のパンは、とても甘かった。


それはすごく美味しかったけど。


でも…。


「ねぇ、隆治…」


『ん?』


「もう、やめない…?」


『やめるって、何を…?』


あたしは一度ゆっくり息を吸って、はぁと長く吐いた。


「もう…。



友達ごっこは



やめよう…」