「なぁ…」


「ん?」


「隆治。

お前、今…幸せ?」


お前は本当に幸せか?


聞くのが怖くて、聞いたことはなかったけれど。


どうしても一度、聞いてみたかった。


隆治はなぜか遠くを見るような瞳をして。


何かを思い出しているかのような顔をした。


その横顔は、男の俺でもゾクゾクするくらい。


ひどく綺麗だった。


「幸せだよ」


隆治は優しい瞳でそう言った。


「そうか…」


その言葉に、少しはホッとするかと思ったけれど。


かえってなんだか苦しくなった。



“幸せ”と言った時、隆治は…。




俺の目を一切見なかったから…。