まだ仕事の途中だという木下さんとは、その後少しだけ話をして、すぐに別れた。


気づいた時には12時も近かったため、あたしと隆治は島の食堂でお昼をとった。


「隆治。これからどうする?

行きたいところがあったら言ってよ。

せっかくだし、どこでも連れて行ってあげる」


あたしの言葉に、隆治がクスリと笑う。


「お前にそう言われると、情けなくなるよ。

それって普通、男のセリフだろ?」


「しょうがないじゃん。

隆治、車の運転できないんだから」


「まぁねー…」


「-で、どこがいい?」


隆治はうーんと考え込んでいる。


「あっ、そうだ。

あそこに行こうか。

一緒に初日の出を見た海岸」


「あ、あぁ…」


隆治の提案に、ちょっと戸惑う自分がいた。


「ん。いいよ。

そこに行こう」


あたしがそう言うと、隆治はにっこり笑った。