カーテンの閉まったガラス扉は、中の様子も伺えず、隆治はせつなそうに家の周りを歩いていた。


その時だった。


「あれ?隆治…?すずちゃん…?」


聞き覚えのある声に振り返ると、そこには無人島に連れて行ってくれた、あの木下さんが立っていた。


「あーっ!カズ兄!」


隆治は木下さんにガシッとしがみついた。


「隆治、どうしたんだよー。なんでここに?」


「じいちゃんの墓参りに来たんだ。カズ兄、すげー懐かしい!」


隆治はすごく嬉しそうだ。


「俺、今たまたま仕事で外回りしてて、ちょっと家に寄ってたんだけど。

寄って良かったよー。じゃなきゃ会えてないもんな。

すずちゃんも久しぶりだね」


「ご無沙汰してます」


「二人とも今は東京なんだろう?

二人で一緒に島にいるなんて。

相変わらず、仲がいいなあ。

もしかして、付き合ってる?」


木下さんの質問に、隆治が苦笑いをする。


「嬉しいよー。

二人には付き合って欲しいって、ずっと思ってたから。

こうして一緒にいると、二人はやっぱりお似合いだよ」


木下さんが嬉しそうに笑うから、あたしも隆治も本当のことを言い出せなかった。