おじいちゃんの墓所を後にし、あたしはまた車を走らせた。


「あっ、すず。ちょっと寄って欲しい所がある」


「ん?どこ?」


「じいちゃんの家に…。

昨日はさ、タクシーだったから素通りしちゃったんだ。

ちょっと、行ってもらってもいい?」


「うん。もちろん」


あたしは隆治に言われるまま、おじいちゃんの家を目指した。


元店舗の入口の前に軽トラックを停めると、二人で車を降りた。


「え…、看板がない…」


隆治が驚いた顔で目を見開く。


あぁ…、そうか。


あたしは学校の行き帰りで見ていたから知っていたけど。


隆治は八神酒店の看板が外されたことを知らないんだ。


「人が住まなくなると、どうして家ってこうも古くなるんだろう…。

たった4年しか経ってないのに、随分傷んだ気がするよ…」


隆治が悲しい瞳をする。


「隆治。ここって売りに出してるの…?」


「ううん。一応俺の母親が相続したんだ。

色々支払うべきものは母親が払ってるみたいだけど。

維持するだけでも、大変らしいよ。

遠いし、なかなか管理できないからな…。

だからって、見積もり出したところで、大した額にもならないし。

島じゃなかなか買い手がつかないんだ…」


隆治の話を聞いていると、なんだかひどく寂しくなってしまった。