その日の夜は、ものすごいご馳走だった。


あたしが帰った日の夜だって、ここまですごくなかったけどなあ。


そう言えば、千春ちゃんが言ってた。


隆治はどうも奥様連中にウケがいいらしい。


隆治目当ての年配の女性客も多いのだとか。


ウチのおばあちゃんと母さんも、おそらく例外じゃないのだろう。


うちには、息子や男の子の孫はいないしね。


食事を終え、お風呂から上がると、母さんが2階の一室に、隆治のための布団を準備した。


なんと、あたしの部屋の隣だ。


「隆治君。

今日は移動で疲れたでしょう?

ゆっくり休んでね。

明日はお墓参りでしょう?

すず、一緒に行ってあげなさいね」


「う、うん」


「じゃあ、二人とも。おやすみー」


そう言って母さんは、階段を下りて行ってしまった。


ぽつんと残されたあたしと隆治。


なんだか恥ずかしい。


「じゃ、じゃあ明日ね。おやすみ」


「おう。明日な」


二人で別々の部屋に入り、同時に扉を閉めた。