「でも、キヨさん。

いきなりキャンセルなんかしたら、キャンセル料取られるし。

大体俺、どこに泊まれば?」


隆治の質問はごもっともだ。


「そんなん、この家に決まっとるじゃろう?」


「「えぇっ?」」


あたしと隆治が同時に声を上げた。


「キャンセル料か、なんか知らんけどが。

あそこの旅館の主人とは長い付き合いなんよ。

うちが言うてあげるけぇー」


「お、おばあちゃん…」


な、なんて強引なっ。


「そうよ、隆治君。

久しぶりなんだから、うちに泊まっていけば?

2階の部屋が一室空いてるのよ。

そこに泊まればいいわ」


か、母さんまで…。


「ね、そうしんさい。

じゃあ、電話するけーねぇー」


そう言っておばあちゃんは、隆治の返事も待たずに、パタパタと電話をかけに、台所へ行ってしまった。


あたしと隆治は、苦笑いしながら顔を見合わせた。