「よう」


右手を上げて爽やかな笑顔で立っている男性がひとり。


「え…?」


思わず立ち尽くすあたし。


「何をボケーッとしとるんねぇ、すずは!

隆治じゃろうよー」


「いやあの…」


それは見たらわかるけど。


「なんで?」


なんでここにいるのよ!


「何って、墓参りだよ」


さも当たり前のように言う隆治。


「墓参り?」


あたしがぽかんとしていたら、おばあちゃんがベシッとあたしの肩を叩いた。


「すず。アンタはアホじゃねぇ!

八神のおじいちゃんの墓参りに決まっとるじゃろうよ」


「えっ、あ、あぁ…。なるほどね…」


「仕事が夏休みに入ったから。

お盆はちょっと過ぎちゃったけど、じいちゃんのお墓に参ろうと思って」


「それはええことよー。

まぁ立ち話もなんじゃけぇ、上がりんさい」


「お邪魔しまーす」


何の躊躇もなく、うちへと上がる隆治。


お邪魔しまーすって…。


ちょ、ちょっとは遠慮しなさいよーーー!!!