『お前、番号変えてなかったんだな』


「え…?

あ、うん。昔のままだよ。

隆治、覚えてたの?」


『まぁな。悲しいかな、こういう記憶力はいいもんでー』


悲しいかなって、どういう意味よ!


「でも、どうしたの?急に」


『別にいいじゃん。友達なんだし。電話ぐらいするだろ?』


「そ、そりゃそうだけど…」


なんか隆治の距離感に戸惑ってしまうんだよね…。


『お前、今何してんの?』


「今?今ねぇ、島に帰る準備をしてたの」


『え?お前、キヨさんのとこに帰るの?』


「うん。
ヒマしてるなら、果樹園手伝えって言われて。

大学始まるまであっちにいようかと思ってるの」


『ふぅん…』


なんなんだ。


そのどうでも良さそうな“ふぅん”は!


そんなこんなで、その日の夜は隆治とくだらない話ばかりをして、電話を切ったのだった。