思いっきり叫んだ直後、ハルが慌ててあたしを教室へと引き摺り込んだ。


「ちょ、ちょっと、すずちゃん。そんなこと言わなくても」


「いいじゃない。これくらいのこと言っても、バチは当たらないと思うよ」


そう言ってウィンクして見せた。


「も、もう、すずちゃんったら……」


困ったように眉を曲げて、ふぅとため息をついていたハルだったけど。


しばらくして、プッと笑い始めた。


「でも、ちょっとスッキリしちゃった。

ありがとう、すずちゃん」


そう言ったハルは、とってもいい顔をしていた。


クスクスと笑いながらハルと二人して席に着くと、八神が頬杖をついたまま、あたしのことをじっと見ていた。


「な、なによ」


何か文句でも?


「別に」


そう言って、プイッと前を向く八神。


何、それ?


絶対何か言いたそうにしてたのに。


あたしは心の中で、八神にベーっと舌を出した。


その直後だった。


「すずちゃ~ん」


また例によって、あの気の抜けるような甘ったるい声が教室に響いた。


「また会いに来ちゃったよ~ん」


ゆるゆると、あたしに近づいてくる五十嵐。


あたしは、はぁと長いため息を漏らした。