「ね、ねぇ。仮にもしそうだとして。

そんなこと知って、何になるの…?」


隆治にはもう千春ちゃんがいる。


あたしとは恋人には戻れないって、隆治はハッキリそう言った。


あたしも、隆治とどうこうなろうなんて気はさらさらないし。


二人の邪魔なんかしないし、迷惑なんてかけないのに…。


「うん…。まぁ、なんつーかさ。

これだけ長い間、あの寝言を聞いてるとさ。

なんかかわいそうになってくるっていうか。

どうにかしてやりたいって思うわけよ」


寝言…か。


隆治は、あたしを振ったことで。


少なからず、あたしがどうしているのか、心配だったのかもしれないね…。


「長谷川君に直接聞いてみればいいじゃない」


「バッ。それが可能じゃないから、お前に聞いてんじゃねーか!

大したことじゃないなら、もうとっくの昔に教えてくれてたはずだろう?

それなのに教えてくれねーんだから。

なんか事情があるんじゃないかなって、そう思っちまうんだよ」


うーん…。


言われてみれば、確かにそうだよね。


隆治はあたしと付き合っていたことを、そんなに隠したいのかなあ…。