しばらくそうしていると、ハルが急にあたしを盾にするようにしてサッと身を隠した。


「どうしたの?」


「森川君がベランダに出て来たの。しかも、福田さんも一緒に」


「えぇっ?」


この学校は各教室がベランダで繋がっているので、1組のベランダから2組のベランダは丸見えなのだ。


振り返ってみると、背の高い爽やかそうな男と髪をひとつにしばった女子が、楽しそうに話している姿が見えた。


それを見たハルは、ひどく悲しそうな顔をしている。


あたしはワナワナと怒りが込み上げていた。


あー、ダメだ。


もう、かんっぜんにスイッチが入ったかも?


「ちょっと、森川!」


あたしの怒鳴り声に、森川と福田さんがパッと振り返る。


二人はポカンとして、どちら様?という顔をしている。


あたしはスーッと、大きく息を吸った。


「この浮気者ーーーー!

女ったらしーーーー!!

アンタなんか最低よーーーー!!!」