右京君の言葉に、ドクンと心臓が跳ね上がった。


「え…?」


ただただ驚いて、あたしは右京君の顔を見つめた。


やっぱりこの人は、あたしが隆治の元カノだって知っていたの?


でも確か、隆治はあたしの名前は言っていないって。


どういうことなの…?


「えと。何を根拠に…?」


簡単に答えは言わない。


千春ちゃんに告げ口でもされたら、大変なことになるもの。


右京君はベンチにもたれかかると、スッと腕を組んだ。


「いや…、あのさ。

隆治ってさ、俺のクラスに転校して来た当初。

あの容姿だから、女子にめちゃめちゃモテてたんだ」


あぁ…。あの当時を思い出すなあ。


すごく心配だったもの…。


「そんである時さ、階段の踊り場で女子に告白されてる隆治を発見して。

俺面白がって、隠れてその様子を観察してたんだ。

そしたら隆治、『島に彼女がいるから付き合えない』って、女子にそう言ったんだ」