メイクをして、髪も乾かして外へ出ると、既に男性陣はロビーで待っていた。


「なげーよー」


右京君が呆れたようにサエちゃんに言った。


「いいじゃーん。せっかくの温泉なんだからー」


確かにすっかり長湯をしてしまった。


「はい、これ」


そう言って隆治が、あたしと千春ちゃんにペットボトルを手渡してくれた。


「今度はちゃんと冷たいから」


いじわるそうにクスッと笑って、隆治は自動扉を開けて外へと出て行った。


あたしは立ったまま、隆治が用意してくれたお茶を飲んだ。


いじわるな顔だったけど、隆治が渡してくれたのは、あたしが好きなお茶だった。


隆治、覚えていてくれたんだ…。


お茶を飲んでふと周りを見渡すと、千春ちゃんは隆治を追いかけて外へ出て、片岡君はサエちゃんとお土産コーナーを見ているようだった。


あたしは一人、展示してあるものをぷらぷらと見ていた。


その時だった。


「今、ちょっといい?」


突然、右京君に声をかけられた。


「どうしたの…?」


「ちょっとアンタに話がある」


「話…?」


「ここじゃちょっと…。外に出ようか」


なぜだかわからないけど、あたしは右京君と一緒に外へ出て、建物のすぐそばにあったベンチに腰掛けた。