「す、好きだったのに。

向こうから告白してきたから、付き合ったのに。

それなのにどうして、あっさり同じクラスの子を好きになったりするの~~~?」


「ほんっとムカつくわね、そいつ!」


五十嵐といい森川といい、自分から告白したくせに、好きにならせるだけならせておいて、手の平返したように振るなんて最低!


女を何だと思ってるのかしら?


「森川君ってモテるし。そんな人と私が付き合うなんて、奇跡だったのかも…」


情けない顔をするハルの肩に、あたしは手をそっと置いた。


「ハル。ハルは充分可愛いよ」


「すずちゃん…」


ハルは少し落ち着いて来たのか、だんだん涙がおさまって来ていた。


「すずちゃん、ありがとう。

これでハッキリしたし、良かったと思う。

言わないままだと、私いつまでもウジウジしてないといけなかったから」


そう言って口角を上げるハルが、なんだか切ない。


「そうだね。

長引けば長引くほどつらいもんね。

よく聞いたよ。えらかったね」


よしよしとハルの頭を撫でると、ハルは少しだけ笑った。