「でも…」


「でも…?」


「それでも、大事に思ってる…」


そう言われて、返す言葉を失った。


嬉しいはずの言葉も、時として人を深く傷つけるのだと。


あたしはこの時、冷静に思った。


「恋人には戻れなくても…。

一緒に無人島で過ごしたあの日みたいに、なれないことはないと思う…」


「どういう…意味?」


あたしがそう尋ねると、隆治は身体の向きを変えて、あたしの顔を真っ直ぐに見つめた。


「友達に…なるんだ…」


「え…?」


トモダチ…?


「俺がこんなこと言う資格はないのかもしれないけど。

でも俺、すずには幸せになって欲しい。

前みたいに、元気なすずに戻って欲しい…」


「隆治…」


「今日、久しぶりに一緒に過ごしたけど…。

俺に言い返すすずは。

なんか、すげーすずらしかったよ…」