水がかかってすっかり冷えていた身体が、互いの温度で少しずつ温まっていた。


このまま時が止まれば、どれだけいいだろう。


観覧車が永遠に止まってしまえばいいのに。


「ごめん…、すず…。

ごめんな…」


震える声を出す隆治。


謝る意味がわからなくて、ただ隆治の胸の鼓動を聴いていた。


「すずは、何も悪くない。

全部、俺が悪いんだ…。

全部、俺のせいなんだ…」


どういうことなんだろうか。


あたし以上に好きな人が出来たことを、謝っているのだろうか。


「だから、さっきみたいに自分を責めるな。

頼むから、元気になってくれよ…」


「何言ってるの?

あたし、元気だよ?」


そう言った直後、隆治はあたしの身体をゆっくり離した。


「これの、どこが…?」


見上げた隆治は、ひどくせつなそうで。


悲しい、悲しい顔をしていた。