隆治の隣に座ってしばらくすると、安全バーが降り、ついにバイキングが動き始めた。


ゴンドラは左右に揺れ、次第にその距離が長くなっていく。


チラリ隆治を横目で見てみると、必死にバーにしがみつき、その顔色はひどく青冷めていた。


うそっ。


隆治ってこういうの苦手なの?


それは意外…。


でも、こんな隆治を見るのは、ちょっと面白いかも。


乗り物が止まり、バイキングから降りると、隆治は少しやつれた顔をしていた。


「大丈夫?」


「あぁ、別に平気」


あくまでクールに答える隆治。


嘘ばっか。


すごい顔をしていたくせに。


「お前、ああいうの平気なのか?」


「うん。絶叫マシーン大好きだから」


「まじかよ…」


チッという、とても小さな音が聞こえた。


あたしにわからないように舌打ちしたんだ、コイツ。


負けず嫌いだからねー、隆治は。


こうなったら、絶叫系に乗りまくってやろうっと。