「それがね…」


「う、うん」


「あの夜景デート以来、私と長谷川君、どこにも出かけてないの」


「えぇっ?」


隆治のヤツ。


一体何考えてんの?


隆治がそんなに仕事人間とは知らなかったな…。


「ね、ねぇ、すずちゃん。お願いがあるんだけど…」


うっ。


なんか嫌な予感がする。


「その遊園地デート。私と長谷川君も便乗しちゃダメ?」


「えぇーーー?」


ま、まじで?


またダブルデートしないといけないの?


や、やだーーー。


もう隆治には会いたくないし、片岡君と二人きりで行きたかったのにー。


「だめ~?」


だーかーら!


その可愛い上目遣いはやめなさいっての!


「おねが~い。すずちゃ~ん」


すがるように、あたしに両手を合わせる千春ちゃん。


あたしは大きくため息をついた。


「わかったよ…。
大学が休みに入ったらねー…」


「やったぁ~!わ~い。楽しみだな~」


嬉しそうな千春ちゃんを尻目に、あたしはひどく憂鬱になるのだった。