「どうしたの?」


昨日と同様、教室横のベランダに二人で立つ。


ハルはグランドを眺めながら、はぁとため息を漏らした。


「あたしで良かったら、話してよ」


そう言ってハルの顔を覗き込むと、ハルはあたしへゆっくり視線を移した。


「実は最近森川君、同じクラスの福田さんとやたら仲がいいの。

さっきもね、教室覗いたら二人で楽しそうに話してた……」


ベランダの手すりに両肘をかけ、ハルは腕に顎を乗せた。


「ただの友達なんじゃない?」


気休めでそう言ってみるけれど、自分の彼氏が他の女子と仲良く話しているのを見るのは、誰だって気分が良いはずはない。


「森川君に、直接聞いてみるのはどう?」


「えっ?」


あたしの言葉が意外だったのか、ハルがパッと顔を上げた。


「彼女なんだもの。ストレートに聞いてみればいいじゃない。

福田さんと仲良いの?って」


「え、でもそんなこと聞いたら、嫌われないかな?」


「えー!なんでそんなことくらいで嫌われるの?」


「面倒くさい子だと思われないかな?」


ハルの言葉に、あたしは目を見開いた。


「あのね、そうやってウジウジとくすぶってる方が良くないと思わない?

不安は募る一方だし。

それならもういっそのこと、思い切って聞いた方がいいじゃない。

なんでもなければ、なんでもないよって言ってくれるはずだし。

たった、それだけのことよ」