「今日はなんか、ごめんね」


カウンター席に座った途端、片岡君が申し訳なさそうに言葉を発した。


「ううん。個性的な人だけど、悪い人じゃなさそうだし、結構楽しかったよ」


「うん。アイツ、見た目よりずっといいヤツだよ。

一途だしね」


「一途?」


「中学の頃からの彼女と、今もずっと付き合ってるんだ。

浮気なんてマジで一回もしたことないんだってさ」


「えーそうなの?それはすごいね」


あの容姿なら相当女の子が寄ってきそうだし、雰囲気は遊んでそうなのに。


人って見た目だけじゃわからないなー。


「片岡君はどうだったの?」


「え?」


「高校時代とか、彼女はいたの?」


「うーん。1年と2年の時にねー。一人だけ付き合った。

でもくだらないケンカで別れちゃって。

それ以来、誰とも付き合ってないよ」


「そうなんだ」


あたしはカクテルをそっと口にした。


テキーラベースのカクテルが、あたしは好きだ。