「右京、どうしたんだよ。すずちゃんをジロジロ見たりして」


片岡君が訝しそうに問いかける。


「あ?あぁー。

よく見たら、すんげー美人だなって感心してただけー。

あっくん、いい人紹介してもらって良かったな。ラッキーだったじゃん」


何?それ。


絶対嘘だ。


そんな感心するような視線じゃなかった。


明らかにあたしの事を観察していたもの。


どうして?


なんか怪しい。


あたしの名前にやたら反応していたけれど…。


あ、もしかして…!


あたしはハッとして目を開いた。


この目の前にいる一之瀬という男の人は、隆治と一番仲が良いんだよね?


ってことは、隆治が“すず”という名前の女の子と付き合っていたことを、知っていてもおかしくない。


隆治はあたしの写真を一枚も持っていないけど、こんな感じの顔って多少は話していたかもしれないし。


でも…。


どうしてあんなビックリしたような反応だったんだろう。


友達が昔付き合っていた彼女と同じ名前を聞いたくらいで。