その日の休憩時間。


ハルが彼氏を紹介するというので、隣のクラスへ向かった。


なんでもサッカー部でミッドフィルダーを担当している、なかなかのイケメンだと聞いた。


ドアから顔を出し、二人で中の様子を伺う。


「どの人なの?」


あたしが興味津々に聞くと。


「ちょっと待ってね。今探してるとこ。

あっ、いた!

森川く…」


そう呼んだ直後、ハルが急に上げていた手を降ろした。


「どうしたの…?」


ハルの顔がみるみる曇っていく。


気になって教室を覗いてみるけれど、あたしにはどれがハルの彼氏なのかわからない。


「ごめん、あとにしよう」


ハルはそう言うと、あたしの手を引いて1組へと戻った。