隆治にあんなことを言われて以来、あたしは片岡君に向き合おうと思い始めていた。


ちなみに隆治のパンは一週間に一回だけ、火曜日に持って来てもらうことにした。


なんだか複雑だけど、食べ物に罪はないし、おいしくいただいた。


前学期末試験の準備が始まるまでに、一度くらい片岡君に会っておきたかったので、あたしと片岡君は金曜日の夜、一緒にご飯を食べる約束をした。


午後の講義が終わると、あたしは電車に乗り、片岡君の大学の正門前で彼を待った。


うちの大学からそれほど遠くない場所にあるので、すぐに到着してしまった。


しばらく待っていると、淡い水色の爽やかなシャツを着た片岡君が、あたしの前にひょいっと顔を出した。


「待った？」


「ううん。さっき着いたとこ」


「大学の正門前で女の子と待ち合わせなんて、初めてだよ」


照れくさそうに笑う片岡君。


こんなにかっこいいのにフリーだったなんて。


まぁこの大学の理系なら仕方ないかなと、ちらりキャンパス内を覗くあたしだった。