「片岡だけどさ…」


「え…?」


「アイツ、本当にいいヤツだよ。

俺の友達の中じゃ、断トツに誠実なヤツ。

大学院に行くらしいし。

頭の良い者同士、すげー合うと思うんだけどな」


そう言われて、胸がぎゅっと掴まれたように痛くなった。


隆治からそんなことを言われるなんて、なんだかいたたまれない…。


「アイツ、一目惚れしたって言ってたよ。

アイツがそんなこと言うの、すげー珍しいことなんだから。

良かったらさ、片岡と付き合うこと、前向きに考えてやってほしい」


隆治…。


隆治はあたしのこと、もう本当に吹っ切れているんだね。


知らなかった…。


ここまで温度差があったなんて。


でも、これで良かったのかも。


これであたしも、やっと前に進める。


完全に忘れることが、できるんだ…。