「で、でも…。

本当にあと数日で会えたのに。

それでもダメだったの…?」


あたしの問いに、隆治はなぜかクスッと笑って。


「まぁ、ワガママなガキだったんだよ。

今すぐ会えなきゃダメ、みたいなさ。

ホント、悪かったよ」


隆治があまりにも軽い口調で言うから、なんだかあたしは困惑してしまった。


「その点、今はさ。

彼女と同じ家に住んでるし、毎日のように会えるし。

寂しさとか全然感じないんだ」


にっこり笑う隆治。


「そっか…。それは良かったね」


「うん。千春さんのご両親にはもう公認の仲だし、師匠もいずれは俺に店を継がせたいって言ってくれてるし。

千春さんが卒業して何年かしたら、籍を入れようと思ってるよ」


え…?


籍…?


うそ…。


二人はそこまで話が進んでいるの?


隆治はもう未来を見ているのに。


あたしだけあの日のまま、時が止まってたんだ。


そうだよね…。


そんなのわかっていたはずなのに…。


いざ本人の口から聞くと、胸が苦しくてたまらない。