「ねぇ」


「ん?」


「多分、もう会うことはないと思うから。

最後にひとつだけ、教えて欲しいことがあるんだけど…」


「なに…?」


あたしの顔をじっと覗き込む隆治の顔が、やっぱりあまりにも整い過ぎていて。


恥ずかしくて、サッと視線を逸らした。


「あたしと別れた原因って、なんだったのかなって…」


あたしの問いに、隆治の動きがピタリと止まる。


「理由がわからなかったから、受け入れるのに少し時間がかかったの…。

もう随分経つし、本当のことを教えてもらえないかなって思って…」


隆治はゆっくり顔を動かし、視線を夜景に移すと、長い脚をサッと組んだ。


その懐かしい仕草に、また胸がキュンと音を立てた。


「うーん。

俺さ。やっぱ性格的に、遠距離って向いてなかったみたいで。

ハッキリ言って、あの時はもう限界だったんだ。

だから、辞めたいって思った」


隆治は淡々と言葉を繋げる。