会社帰りの人達で賑わうこの街で、片岡さんと並んで歩く。


こうして横に並んでみると、スラッと背の高い人だ。


隆治と同じくらいかなと思われた。


地下鉄に乗り込み、たまたま空いていた座席に横並びに腰掛けた。


片岡さんはおとなしい人なのか、ここに来るまで、ほとんど会話らしい会話はなかった。


「あの、片岡さん」


あまりに会話がないので、あたしから声をかけてみた。


「なんでしょう」


「長谷川君と片岡さんって、高校の同級生なんですか?」


「はい、そうです。

あ、同い年なのに、お互い敬語って変ですよね」


片岡さんの口調が丁寧だから、あたしもつい釣られていた。


「とりあえず、話し方は変えよっか」


あたしの提案に、片岡さんがクスッと笑って頷いた。


「高3の時からの付き合いなんだ。

長谷川は二学期に転校して来たんだけど、たまたま席が隣になって。

授業の進み方が前の高校と違うみたいで、それでよく勉強のことを聞かれてたんだ。

それ以来、仲良くなって」


「そうなんだ…」