「顔色が悪いですよ。大丈夫ですか?」


そう言われて、パッと頬を両手で隠した。


「あの、大丈夫です…」


「すずちゃん、大丈夫?無理しないでいいんだよ。帰る?」


千春ちゃんがあたしの背中を撫でてくれる。


帰る?


そんなのダメだよ。


そんなことしたら、まるであたしが隆治を意識しているみたい。


もう平気だってところを見せたいのに…。


「帰りましょう。僕が送ります」


そう言って片岡さんが立ち上がる。


「そうしてもらえますか?」


千春ちゃんも心配そうに立ち上がった。


そんな…。どうしよう…。


このまま帰るのは忍びなかったけれど、座っているだけでも正直辛くなっていた。


「ごめんね…。千春ちゃん…」


「ううん。またゆっくり集まろう」


2、3度軽く頷いて、あたしは隆治をチラリ見た。


バチッと目が合ったので、あたしは慌ててペコリ頭を下げた。


隆治も軽く頭を下げる。


「じゃあ、行きましょうか」


「はい…」


あたしと片岡さんは、二人で居酒屋を後にした。