「すずちゃんってね。

こんなに美人なのに、勉強ばっかりして、全然遊ばないんだよー」


「ちょっ、千春ちゃん」


そんな話、隆治の前でしないで…。


「そうなんですか。

いや、僕も不思議だったんです。

こんな綺麗な人に、どうして恋人がいないのか…。

勉強が忙しいからなんですね」


片岡さんが感心したような顔をするから、あたしは思わず苦笑いをした。


「実は僕もそうなんです。

理系なので、忙しくて。

勉強ばっかりしてて、飲み会なんて行ったことがないんです」


そう言って片岡さんが目を細める。


「そうなんだー。

なんか、すずちゃんと片岡さんって似てるよね。

美男美女だし、お似合いかも?」


無邪気に笑う千春ちゃんの言葉に、胸がチクッと痛くなった。


まさか隆治に、男性を紹介してもらうことになるだなんて。


隆治は幸せにやっているのに、あたしだけがいつまでも引き摺ってるみたいで。


なんだか、正直悔しい…。