フェリーが到着して船内に乗り込んだ後も、二人は途切れることなく会話を続けていた。


なんだかいたたまれなくなったあたしは、自転車にロックをかけて客室へと向かった。


空いた席にドカンと腰を下ろすと、ハッと強く息を吐いた。


アイツ、あたしには見せたこともないような優しい顔をしていた。


唯一話す女子……。


それってつまり、彼女ってことなんじゃないの?


彼女以外の女子には冷たい。


そういうヤツなのかもね。


あいつが笑顔を向けるその女子って、一体どんな子なんだろう。


ショートカットで、小柄な子だった。


同じクラスにはあんな子はいなかったよね。


同級生?それとも下級生?


フェリーが到着するまで、あたしはなぜかそのことで頭がいっぱいになってしまうのだった。