色んなことがあった転校初日だったけれど、ハルを始めクラスの女子はみんな優しくてすぐに打ち解けることが出来た。


家に帰ると母さんが自転車を買って来てくれていて、あたしは次の日から自転車通学をすることになった。


自転車があるならもう一本便を遅らせても大丈夫だなと思ったあたしは、昨日より少し遅い便のフェリーに乗ることにした。


自転車を漕ぐこと15分。


フェリー乗り場に到着して、やれやれと自転車から降りて人の列に並んだ時だった。


前方に、フェリーの到着を待つ八神の姿を発見した。


「あいつ、この便で通ってるんだ」


じゃあ充分間に合うなと思った直後、あたしと同じ制服を着た女子が自転車に乗ったままあたしのすぐ横を通り過ぎて行った。


その子は八神の隣にキュッと自転車を止めると、ポンと八神の肩を叩いた。


振り返った八神は“おう”と挨拶をし、その子と楽しそうに会話をし始めた。


何、あれ?


ニヤけた顔しちゃってさ。