「も、もしもし。隆治?

あ、あたし…。すず…」


震える声で口にした後、長い沈黙になってしまった。


話したいことや、聞きたいことは、山ほどあるのに。


やっと、電話が繋がったのに。


電話の向こうの隆治は、何も言葉を発してくれなくて。


その沈黙の意味を考えてしまって。


怖くて怖くてたまらなかった。


「りゅ、隆治。

あの…、あたしね。

い、今東京にいるの。

じゅ、受験ももう全部終わって」


隆治。


どうして黙っているの?


どうして…っ?


「い、今ね。

隆治の住んでいる家の、近くの駅にいるの。

え、駅前の、ふ、噴水の前にいるの。

あ、会えないかな…?」


隆治は、何も答えてくれない。


それでも言わなくちゃ。


あたしの思いは、伝えなくちゃ。


「あ、会いたいの…。


隆治に会いたい…」