気がつけば、空はもう暗くなっていて。


吹く風も冷たくなっていた。


結局、隆治の姿など見ることは出来なかった。


わかっていたことだけど、妙にむなしさだけが残った。


ふと携帯を取り出し、隆治の名前を探す。


どうせまだ電源を切っているのだろう。


そう思いながらも、通話ボタンを押した。


その直後、トゥルルッという音に、ビクンと肩が上がった。


うそ…。


つ、通じた!


あたしは急いで携帯を耳に当て、隆治が出るのを待った。


お願い。


隆治。


電話に出て…!


声を聞かせて!


その時だった。





『はい』




少し掠れたその低い声は。



ずっとずっと聞きたかった、



大好きな隆治の声だった。